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卒業式校長式辞
桜の開花の時を迎え、いよいよ春本番が訪れようとしています。
 本日、北区立王子桜中学校第16回卒業証書授与式を挙行するにあたりまして、PTA会長関(せき)口(ぐち)正法(まさのり)様のご臨席を賜り、そして卒業生の保護者の皆様が見守る中、こうして無事に実施できますことを、心より感謝申し上げます。
 さて135名の卒業生の皆さんには、今卒業証書を一人一人に手渡しました。一人一人のこれからの新しい生活への希望と決意がうかがえる輝いた表情を間近に見ることができ、感無量の思いでいっぱいです。あらためてご卒業おめでとうございます。皆さんは9年間の義務教育を修了し、それぞれの道を歩き始めます。
 
さて、最高学年として迎えた今年度は、新型コロナウイルスの感染拡大による臨時休業が長引き、皆さんも不安な気持ちを抱えたままのスタートだったと思います。ようやく学校が再開した昨年6月以降も、感染症対策のための「新しい生活様式」に戸惑ったり、楽しみにしていた修学旅行や部活動の大会が中止になるなど、思うようにならない日々が続きました。
 そんな中でも皆さんは下を向くことなく、前向きな学校生活を取り戻し始めました。以前と変わらぬ皆さんの笑顔や友達と楽しそうにおしゃべりする姿を見て、私たちも安堵の気持ちを抱きました。そしていつの間にか季節は春から夏へと移り変わり、いつもと違う夏休みを迎えました。進路や受験のことも少しずつ現実を帯びてきました。
やがて秋になり、ようやく全校生徒で今年度初めての学校行事である体育祭に向かうことになりました。感染症対策のための様々な制約の下、最高学年としてどのように体育祭を創りあげるのか、皆さんには少なからず不安や重圧もあったと思います。それは先生方も同じでした。
 しかしながら私たちの心配は杞憂に終わりました。体育祭当日は、生徒全員の気持ちのこもったラジオ体操から閉会式が終わる最後の瞬間まで、自分たちがやるべきことを理解し、今年の体育祭にかけがえのない価値をもたらしてくれました。思うようにならない辛さや不安を乗り越え、自分たちにできることを探し努力し続けることの大切さを皆さんから教えてもらいました。
そして季節は冬へと向かい、受験に臨むときが近付いてきました。そんな時、みなさんと行った面接練習はとても印象に残っています。緊張しながらも高校生活への目標や将来の夢を真剣に語ってくれた表情からはこの3年間の成長を感じることができました。また、皆さんがこの1年間たくさんの友達や家族の方たち、そして先生方に支えられ、励まされながら進路に向き合ってきたことを強く感じました。

 受験という高いハードルを乗り越えた今、皆さんには、次の人生への扉が開こうとしています。これからは自分の意志や行動で未来を切り拓くことができます。王子桜中の卒業生としての誇りを胸に、将来の自分の夢に挑戦していってください。

 さて、これから未来に羽ばたく皆さんに2つの期待をお話します。
 一つ目は、挑戦する気持ちをもち続けて欲しいということです。
昨年12月に探査機はやぶさ2が、6年間もの長い宇宙の旅を終えて小惑星リュウグウの砂が入っているカプセルを地球に持ち帰ることに成功しました。リュウグウへの着陸では、なかなか平坦な場所が見つからず、想定外の難しい降下が求められました。しかし約600人のプロジェクトチームのメンバー全員の知恵をすべて結集して、地球から3億キロメートルもの彼方で誤差わずか60センチという驚異的な精確さで見事に着陸を成功させました。
 この成功の裏には、数百万回という途方もない数のシミュレーションを繰り返し、数え切れない失敗の中から学び取ったチームメンバーの自信がありました。そして次々と困難に直面しながらも、まったく悲壮感がなく、困難な状況を良い意味で楽しんでいたといいます。「とにかくやってみよう」という精神に溢れていたのです。プロジェクトチームリーダーの津(つ)田(だ)雄(ゆう)一(いち)さんは、「人は失敗したときに一番大きく成長する。」「失敗の共通体験はチームの結束を高める。」と言い切ります。みなさんも失敗から謙虚に学び、挑戦する気持ちを持ち続けて欲しいと思います。

 二つ目は、自立する人になって欲しいということです。
 卒業も迫った国語の授業の中で、「自立」と「責任」について考えたことを覚えていますか。
 コロナ下のこの1年間で皆さんはどんなことを感じ、考えたでしょうか。この時間ほど、人と人が支え合うことの大切さを実感したことはなかったと思います。特に自粛期間中から現在に至るまで、医療従事者の方を始め多くの方々が感染のリスクと向き合いながら、私たちの命と暮らしを守るために必死に働いてくださっています。
これからの時代は、感染症や災害など不測の事態がいつでも起こりうる社会です。さらに人生で見舞われるさまざまな困難や苦労からも逃れることはできません。大事なことは、「こうした困難に自分がどう向き合っていくか」だと思っています。
哲学者の鷲田清一さんは、「他人との支え合いのネットワークをいつでも使える用意ができている」ことが「自立」の本当の意味だと言っています。
自分の弱さや欠点を謙虚に見つめること、そして困難を一人で抱え込むのではなく、周りの人たちと助け合い、支え合う関係をつくりあげるのです。そこにこそ、自分が存在することの意味を感じながら生き生きと生きることができると思います。
卒業生の皆さんも、これからの新しい生活の中で、たくさんの人とつながり、支え合う関係を築いてくれることを願っています。

 さて、本日卒業証書を手にすることができたのは、皆さん一人一人の努力があったのはもちろんですが、その蔭には、保護者の方を始め多くの人の支えと励ましがあったと思います。
 皆さんは、決して一人で生きているのではなく、これからもたくさんの人の愛情と支えを糧に成長していくことができるのです。自分の力で生きるということではなく、周りの人に「生かされている」という感謝の気持ちをいつも心に刻んでください。

 むすびに、保護者の皆様には、三年間本校の教育活動への温かいご支援とご協力をいただきまして、誠にありがとうございます。特にこの一年は新型コロナウイルスに翻(ほん)弄(ろう)された一年でもありました。お子様の進路への不安や悩みにも寄り添い、励ましていただいたことにも重ねて感謝申し上げます。今後ともへお子様の母校となる王子桜中学校を温かく見守っていただければ幸いです。卒業生の限りない前途を心より祝福し、私の式辞といたします。

令和3年3月19日
北区立王子桜中学校校長 吉原 健

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| 学校日記 | 07:35 AM | comments (x) | trackback (x) |
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